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<<   作成日時 : 2007/10/19 02:07   >>

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高性能半導体の生産力強化を目的とした新たな協業体制の構築に向け
新合弁会社の設立で基本合意


IBM及び東芝とのゲーム機向け高性能半導体生産に向けた協力体制の強化

高性能半導体の生産力強化を目的とした新たな協業体制の構築に向け新合弁会社の設立で基本合意

ソニーセミコンダクタ九州株式会社 長崎テクノロジーセンター内 Fab2(旧SCE 諫早Fab2)の最先端半導体生産設備である300mmウェハー生産ラインを東芝に譲渡(Fab2自体はソニーセミコンダクタ九州が所有するものと思われる)。東芝とソニー、SCEは、それぞれ60%, 20%, 20%(ソニーグループで40%)の出資比率で新会社を立ち上げ、その新会社が東芝から諫早Fab2 300mmウェハーラインを借り受ける形でCell B. E.やRSXを生産するそうです。

また、大分TSセミコンダクタ(OTTS, 東芝51%, ソニー49%)は、合弁を解消し、東芝がソニー側の資産を全て買い取ります。

一方、ソニーとIBM、ソニーと東芝はそれぞれCell B. E., RSXや、それらを生産するための最先端半導体生産技術に関する協業を強化。Cell B. E.はこれまでも旧SCE 諫早Fab2およびIBM フィッシュキルFabでの90nmプロセスでの生産、65nmプロセスでの生産が行われていましたが、これらを45nmプロセスに移行させることで合意。これまでソニー、IBM、東芝は最先端半導体生産プロセスのベースを共通化し、生産設備を相互にシェアしあえるように整備し、ゆるやかなアライアンスを形成していました。また、Cell B. E.についても、IBM, 東芝, ソニー(SCE含む)が共同で開発してきました。今後もソニーは半導体生産技術の開発やCell B. E.の開発に参加し続けますが、生産からは一歩引いた立場を取るようです。

誤解している人もいるみたいですが、これはCell B. E.の売却なんていう話ではまったくありません。撤退でもありません。この情報を見て、ソニーがCell B. E.から撤退!なんて騒いでいる連中は、あまりにも不勉強です。最終的なエレクトロニクス製品が大切であり、半導体事業はそれを作るための道具にすぎない(実際、半導体の外販比率はかなり低い)ソニーと、半導体を主力事業とし(国内最大手であり、2006年度世界6位。NECエレクトロニクスの倍程度の生産額を誇り、日亜・エルピーダに次ぐ営業利益率を誇る)、半導体生産設備への積極的な投資を進める東芝との間で利害が一致したのでしょう。ソニーの半導体は基本的に社内で消費するものなのに、45nm以降の最先端の半導体でCell B. E.やRSX以外の大規模な用途があまり見えてこない。これまで、ソニーはゲーム向けに最先端の半導体生産技術に投資を行い、大量にCPUやグラフィックチップを生産し、それらの生産がより新しいラインに移った後にシステムLSIなど他の製品の生産に転用していました。今後、Cell B. E.用に45nmラインや32nmラインを作っても、Cell B. E.をそれらのラインで作らなくなった後の用途がまだ見えていないのでしょう。それはそれで非常に大きな問題だと思いますが(今後のソニーには、大規模な半導体チップがキーとなる製品の展開があまり見込めない?)。ソニー社内でもてあます可能性のある半導体生産ラインを東芝に売却し、新たな生産設備への投資を行わないことで、それらの生産設備が必要なくなった場合に備えるのでしょう。外販をあまりやらず、その経験もないソニーは不要なラインをもてあますだけでしょうけど、東芝ならさまざまな用途に転用できますから。

もう一つ重要なのが、Cell B. E.やRSXなどを生産するためのプロセスはほぼ完全に装置産業になっており、要するに生産装置を買ってくればどの会社でも同じようにチップを生産できるということになっています。Intelクラスの企業は別としても、ソニーがそれなりの投資をしても、競合他社と同じような時期に(Intelより少し遅れて)同じような性能のチップしか生産できません。ソニーがいくらがんばっても、お金を持っている他社よりも早く、高性能なチップを精算できるようになるわけではないのです。ソニーは半導体で生きていく会社ではないので(といっても、ソニーの半導体生産事業はかなり大きく、NECエレクトロニクスより上で国内シェア3位です。1位は前述の通り東芝、2位はルネサステクノロジ)、ならソニーが圧倒的な強みを持つもの(イメージセンサや半導体レーザー)以外は外に出しちゃえ、という選択をしたのでしょう。一方で、2001年には世界シェア2位だったものの2005年に4位、2006年に6位と凋落を続ける東芝は少しでも多くの生産設備が欲しかったのでしょう。


というあたりを前提知識として持っていただいて。

ストリンガーならやりかねんと思っていましたけど、まさか本当にやるとは、というのが最初の印象です。ウォークマンからPS2、PS3、レコーダ、BRAVIA、デジタルカメラ、ビデオカメラ。半導体は、これまでソニーが世に出してきたエポックメイキングな製品のキーデバイスの一つでした。もちろんソニーが得意とする、圧倒的な世界シェアを持つイメージセンサ、今のところソニーとビクターしか生産できない(Intelも手を出したものの撤退した)LCOS、半導体レーザなどへの投資は継続するし、システムLSIについても設計開発はいままでどおり社内で行うでしょう。一部のシステムLSIの生産のみが、他社への委託になります。…が、キーデバイスの生産を他社に頼るような企業には、ソニーにはなってほしくなかった。それじゃ、Appleや任天堂と同じじゃん、と思います。キーデバイスを自分で作らないというのは、物作りの企業として尊敬できません。

また、久夛良木氏の思想や戦略がこのような形で否定されるのも、おもしろくありません。今回売却されるのは諫早Fab2の生産ラインと、大分TSセミコンダクタのソニーの資産ですが、諫早FabはそもそもSCEがPlayStation 2のために周囲の反対を押し切って大規模投資を行ったもの。結果的にこの投資は大成功で、PlayStation 2の大ヒットを支えただけでなく、2004年当時最先端だった90nmプロセスからは、薄型PS2やPSPなどの製品が生まれました。この90nmプロセスがなければ、PSPが生まれることはなかったでしょう。また、この90nmプロセスからは、いくつかの戦略製品のキーデバイスが生まれています。大分TSセミコンダクタも元は東芝とSCEの提携でした。

今回の決定が、おそらくキーデバイスの一つを自社で生産せず、SAMSUNGとの提携に頼っているBRAVIAの世界的な成功(液晶テレビで世界シェアトップ)に影響されているのは間違いないでしょう。液晶パネルの生産について、SAMSUNGと共同でS-LCDを立ち上げ、液晶パネルの供給を受けるという決定を行ったのが久夛良木氏であるというのも皮肉です。テレビに関しては、自社パネルを切望して有機ELの開発が積極的に行われていますが、半導体のほうはどうなるか。

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